1.ソラアイ 2.ファンダメンタル・ラブ 3.water(s) 4.しあわせの風景 5.country road 6.一日の始まりに… 7.life cycle 8.うらうらら 9.またあした 10.Interluido〜Meridiana 11.五月雨 長らく「ELTはシングルアーティスト」と勝手に括ってしまっていた僕にとっては、6枚目のオリジナルアルバムとなる本作は嬉しい誤算というか、心地よい驚きを与えてくれる一枚だった。
いや、前作「Many Pieces」あたりから兆しはあった。2000年に五十嵐充が脱退した前後の作品にはややマンネリの気配が漂っていたものの、多胡邦夫や菊池一仁らの良メロバラードと、従来のELT像から少しずつ外れようとする持田香織のボーカルや作詞を両輪にして、上手く新たなステージに移行しつつある、そんな空気は前作からも感じられた。本作は、そんな"新しいELT"像をより強く印象付ける一枚ということになりそうだ。
このアルバム、5曲含まれているシングルでの既発表曲よりも、アルバム曲がとりわけ印象的だ。スイートなキーボードのリフが印象的な「water(s)」はいきなり私的ベストトラック。80年代の良きアメリカン・バブルガムポップといった趣で、持田のちょっと気だるげな歌が映える。初の全編英語詞に挑戦した「country road」はアコギを使ったA・Bメロのアーシーな質感と、サビのオルタナ風味を上手くミックスしたロックナンバーで、ELTとしては異色作だがこれも実にいい感じ。パンキッシュに疾走するアップナンバー「life cycle」もヌケが良くて爽快。持田が作詞作曲を担当した「うらうらら」はアルバム曲ならではのリラックス感が心地よい一品。タイトルが繰り返されるサビが印象的。ラストの「五月雨」はアコースティックな即送営業部のバラードだが、切々と歌いかけるような持田のボーカルが良い。
もちろん既発のシングル曲も良質のポップソング揃い。ミディアム〜バラードが中心だが、その中でアップテンポの「ファンダメンタル・ラブ」のインパクトは強い。布袋風に8ビートがFouryouするアレンジ、パンキッシュなまでに弾けた持田のボーカルは、いい意味での開き直りさえ感じられて痛快。良き正調歌謡ポップの匂いもある「一日の始まりに…」も好き。
というわけで、全編を通して捨て曲のない、実に良質なポップ集に仕上がっていると思う。必要以上に長尺の作品が増えつつある昨今にあって、11曲とコンパクトな構成なところも好印象。なにより作品に流れている空気が新鮮で瑞々しいのがいい。ELT、いいところに来たんではないかなと、そう思う次第であります。ただ、初期に比べるとかなり舌足らずっぽい歌い方にシフトしてきた持田の歌は、好き嫌いが分かれるところかも。そこさえオーケーな人なら、はっきり言ってオススメです、これ。最高傑作だと思う。 |
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